2016.03.18
3月18日(金)
今日は、結果発表前の、最後の出勤日だった。
来週出勤するときには、独立派が勝ったのか、
反対派が勝ったのかが、決まっているわけだ。
そのせいだろうが、職場の空気もかなり微妙だった。
喜田課長は相変わらずいなかったけど、
川上課長はいつも通り、ひとりで「独立反対独立反対…」と
お経のようにつぶやいているし、
一方、中田大統領はのほほんとしていた。
それにしても、大統領のあの余裕っぷりは大したもんだ。
本当に、独立国家の大統領になるかもしれないのに、
その不安とかも一切感じられない。
でも今日のお昼は珍しく、大統領率いる独立賛成派メンバー全員で、
淡路島ポークのカツ丼を食べに行った。
俺は、もう賛成派を装うしかなかったけど、
また川上課長の目つきが恐ろしいものだったな…。
まあ、川上課長とカツ丼を食べましたなんて、口が裂けても絶対に言えない。
そんなことを言ったら、あわじ国から永久に追放されそうだ。
妻もいるし、仕事もあるから、そうはなりたくないが。
淡路島ポークのカツ丼は本当にうまくて、俺がつくったカツ丼とは大違いだった。
肉がやわらくてジューシーだし、食べるのに夢中になって、
あっという間に食べ終わってしまった。
そう言えば、今日もいなかった喜田課長だけど、
今週は忙しいと聞いていたが、どこにいるんだろう。
そもそも、喜田課長が賛成派なのか、反対派なのかも知らないけど、
1週間も会わないのはこれが初めてだ。
何か、投票に関わることでもしているんだろうか。
食の推進課の課長なんだから、それは関係ないだろうが、
あの人もなにか得体が知れないところがあるしな。
心の中が、何かざわつく。