30 SPOT
15
食
沼島のハモ!
名人漁師に聞いてきた。
[ハモ]
- トップページ
- あわじ国 30の魅力
- 沼島のハモ!名人漁師に聞いてきた。
あわじ国 30の魅力紹介
今回は、沼島の『ハモ(鱧)』の魅力を紹介します。
あわじ国の南にある島『沼島』。
ここはおいしい魚が揚がる漁場としても有名で、多くの島民が漁業に携わっている島です。
タイに、アジにと、沼島産の魚は高級ブランドとして扱われてきましたが、その最たる存在が『ハモ』です。
『沼島といえばハモ』と言われるほど有名な存在となった沼島産ハモの、現在と未来を担い続ける名人漁師『安達』さんに、お話を伺ってきました。
[登場人物] 沼島のハモ名人漁師の安達さん |
■安達さんはハモ漁をはじめられて今年で何年目になるんですか?
安:ワシは今年で73歳やから、50…57年目になるかな。
16歳から始めたからなー。
■16歳からですか!?
安:そうや。中学校卒業してからずっとハモ漁やっとるからな。
■昔から沼島ではハモ漁が盛んだったんでしょうか?
安:昔は沼島以外にも競合するハモ漁もあったくらい人気やった。
今は時代の波にのまれてなくなってしまったけどな。
■他の地域からも漁に来ていたということですか?
安:そう。昔は多かったよ。今では沼島のもんしか漁はしてないけどな。
後継者が続かんかったんやな。今じゃ一隻も見なくなったわ。
■沼島でもハモ漁をする人はもう殆どいないと聞きました。
安:昭和30年くらいには、大きな船が36隻と小さな船が7隻くらいあったから、計43隻くらいかな。多かったんやけど、それが今では底引き網漁に変わったり、漁師をやめたりで、どんどん減っていってしまったな。
■それはどうしてなのでしょうか?
安:ハモ漁は夜の漁になるからキツイしな。それに縄も痛むし、不漁続きの年があったりもして、これじゃ商売にならんっていうて、みんなやめていってしもたな。
■後継者問題は深刻ですね。
安:ワシんとこはまだ子どもがおるからな。弟もおるし、一緒に漁出てやっとるけど、若い人にはツラいと思うわ。
■漁は厳しいのでしょうか?
安:夕方の5時に出て、帰ってくるのが夜の2時頃よ。
糸を噛まれたりしたらもっと遅くなるし、それで獲れるか獲れないかわからんのやから、誰もやらんわな。
■それでも安達さんが続ける理由は?
安:ワシは73歳やで。国民年金しかかけてないし、やめたら生活できひんねん。
それしかないわ(笑)
自分の力で自分で楽しみもって稼げる、それが生きる道やし、それしかないねん。
儲けようなんて思ってないし、のんきっちゃ、のんきやったんやな。
■今年のハモ漁はいつから始まるのでしょうか?
安:5月の15日くらいから8月の15日くらいまでかな。
ただ、今年はやれるかわからんわ。
■えっ!?どうしてですか?
安:ハモ漁のエサを和歌山の友達のところから仕入れてるんやけど、去年は水温の変化でそのエサが獲れんかったみたいで。
■どんなエサなんですか?
安:スルメイカや。日本海のを取り寄せてももう白くなってしまってて使いもんにならんねん。和歌山のそこのエサじゃないとあかん。
■そんなに違うものなんですか?
安:違う。エサによって全然違うな。
同じ冷凍にしても管理によって全然違うしな。
そこのやつは冷凍でも解凍したら刺し身にできるくらいのエサや。
■他のエサで漁を続ける方法はないのでしょうか?
安:アジやサバの生餌を使う方法もあるんやけど、エサの管理方法が港によって違うからなー。うちじゃできんかもしれん。
5月までにはどうやって挑むのか考えておかないと。寝てたらいかんな(笑)
■期待されていますもんね。沼島の魚はどうしてそこまでおいしいのですか?
安:ワシらは、沼島ほど漁場が整った場所はないと自負している。
太平洋を背にして、紀淡海峡と鳴門海峡があるけど、沼島はちょうどその真ん中にある。
2つの潮流があって、土地からの栄養分もあって、小魚もおって、そんな場所は他にないしな。
■他の地域の魚とは違う?
安:他とはちゃうねん。沼島の鯛はおいしいよー。
アジもおいしい。脂も濃いし、しつこくないし、身も肥えて。
ハモも、地質が違うから全然違うわ。
見た目だけで沼島のハモはわかるよ。
■食べなくても産地がわかる?
安:うん、見た目だけでわかる。
腹の厚みも全然違うしな。
■今の季節だと…オススメのお魚は?
安:2月やったら鯛やな。身が締まってるのに脂もある。
沼島の鯛は本当においしいよ。
■これからもおいしい魚を食べていくには?
安:正直、ワシらだけじゃ限界もあるわ。
沼島のハモがブランド化しても、自分一人でできるもんじゃないし、ウチの身内だけじゃダメやし、もっと地域全体が良くなっていかないと意味がないわな。
■なるほど。そうですね。
今年もおいしいハモが食べられることを期待しつつ…本日はありがとうございました!
ということで、沼島のハモ名人漁師、安達さんにお話を聞いてきました。
70歳を超えていても年齢を感じさせないくらいお元気で、時折見せる鋭い眼光が印象的でした。
『美菜恋来屋』などでは沼島から直送の魚を販売していますし、他の産地とは違うというその味をぜひ皆さんの舌で一度確かめてみてください!
「世界が羨む」あわじ国 30の魅力紹介